広告対象としている商品やサービスの市場がどうなっているのか、確認しておく必要があります。市場規模だけでなく、その商品カテゴリーがどのようなライフサイクルに位置しているのかも確認しておきます。
ここで、「カテゴリー」という言葉を使っていますが、何を基準に「カテゴリー」を分けるのか、きちんと考えておく必要があります。たとえば、私の使っている「ThinkPad」というブランドがあります。レノボのノートパソコンのブランドです。一般的には、「ThinkPad」のカテゴリーは、「ノートパソコン」ということになるでしょうが、大きく考えれば、「ノートパソコン」はデスクトップパソコンも含めた「パソコン」という大きなカテゴリーの一部になります。また、逆に考えて、「個人が使う携帯できる情報端末」と定義すれば、スマートフォンもタブレットも同じカテゴリーになるでしょうし、ガラケーだって、同じカテゴリーになるかもしれません。どのような基準で「カテゴリー」を定義するかによって、市場の見方もアプローチの方法も変わってきます。
表では、カテゴリーのライフサイクルと、個別の商品の導入段階に合わせて、一般的に採用されるマーケティング戦略をマトリックスで表してみました。カテゴリーのライフサイクルと商品の導入段階によって、広告投下の最適期間や広告投下量を変化させる必要があります。
カテゴリー自体をその商品で作っていこうとする場合は、自社製品の広告活動だけでカテゴリーの認知を高めていかなければなりません。初期の投資は必要ですが、カテゴリーが形成されてしまえば、市場シェアも大きく、十分に見返りのある投資だといえます。
カテゴリーが成長期や成熟期にあるところに、新製品を導入する場合、製品知名度を効率的に高めるために、継続的で大量の広告投下が必要です。また、使用するメディアや広告のサイズも変わってきます。すでにブランド認知・市場シェアを得ているブランドが短いメッセージやラジオなどの視覚によらないメディアによっても十分効果的な広告宣伝が行えるのに対して、新製品の導入の場合は、視覚に訴えるインパクトの大きなメディアを必要とし、メッセージも長く規模の大きなものとする必要があります。
カテゴリーをどのように定義するかによって、「競合」のとらえ方も変わってきますが、競合他社の広告活動の状況や広告費の調査は、メディア戦略全体を考える上で、非常に重要なポイントです。まずは、競合商品にどのようなものがあり、どれくらいの媒体活動を行っているのかを確認しておく必要があります。
どのようなポイントで競合状況を分析すればよいのかは、後ほど触れますが、
年間投下量/投下金額
季節性
期間投下量の分布
訴求対象
地域性
表現分析
など、今まさに自分たちの広告対象商品のマーケティング戦略を確認しているのと同じ項目を実際の広告活動の結果から分析する必要があります。ですから、競合の状況を分析するのと同様に、自分の広告主企業の状況も分析しておく必要があります。