「調査」カテゴリーアーカイブ

「購買データ」と「意識データ」の組み合わせが描き出すリアルな生活者像

ITmediaマーケティングさんに取材していただきました。

http://marketing.itmedia.co.jp/mm/articles/1502/17/news007.html

1/28に行われた「マーケティングテクノロジーフェア2015」でお話した内容をベースにインタビューにお答えしました。

冒頭に出てくる100m走の例えは、以下のような違いを表しています。

担当の広告会社が調査会社を使って、キャンペーン認知やブランド認知を事後調査して報告

広告主企業が独自に調査会社で調査を実施。または、WEBサイトへの流入、口コミ件数など「行動のKPI」指標を使って独自に計測

この違いを、自分でストップウォッチを持って走っているか、第三者に測定されているかの違いで表したのです。

多くのデータが入手できるようになり、コミュニケーション効果をどのように定義し、計測するのか、従来の「意識」だけのKPIでは対応できなくなってきました。

しかしながら、「行動」の指標は様々な要因が重なり合った効果の結果なので、コミュニケーションの領域のKPIにはしにくいこともあります。

これまで使ってきた「意識のKPI」と広告主企業の中で共通言語化できる「行動のKPI」の両方を継続的に取得していきたいですね。

True but Useless

True but Useless

真実だけど役に立たない

『スイッチ!』という本の中に出てきた言葉です。この言葉を読んで、自分の仕事に引き寄せて考えてみたときに、気をつけないとこういう調査をやってしまうなぁと思いました。

勝間和代さんが、ブログの記事でゴルフの教え方の例をあげてうまく説明してくれています。

プロのコーチと、アマチュアの教えたがりの差は何か?

僕らはさまざまな広告の効果測定調査をしますが、調査をすればいろいろな調査結果が見えてきます。例えば、認知率が低い、好意度が低い、商品の特長理解は獲得できている・・・・などなど。

でも、その事実がわかってもそれだけでは「役に立たない」のですよね。調査結果はこうです!って言われたところで、お客さんからするとso what?(だから何?)になってしまう。認知率が低くてまずいのであれば、「どうやったら上がるのか?」を考えなければならない。つまり、調査報告をするときには、必ず改善策を一緒に提示する必要があるわけです。

改善策を出すためには、調査結果に影響を与えている要因を把握する必要があります。例えばテレビCMの認知率が低いのであれば、投下量が少ないのか、それともクリエイティブの問題なのか、要因をはっきりさせる必要がありますね。ただ、調査の結果だけではなかなかはっきりしないことも多いです。

なぜかというと、大体生活者調査というのは一時点の状態を切り取ったものなので、前後関係をみることができないので、「因果関係」がわからないからです。そういう場合は、一時点でも複数の比較ができるように調査がしてあれば、「相関関係」をみて推定することができますね。

例えば、以下のように認知率と投下量の関係をグラフにしてみると、AとBとFは同じ認知率ですが、近似曲線を加えてみるとAは投下量に対して高めに認知率が獲得できているけれど、Fは倍の投下量があるのに同じ認知率しか獲得できていないことがわかります。

投下量と認知率Aであれば、投下量を増やせば認知をもっと獲得できると思われますが、BやFの場合は投下量を増やしただけではうまくいかない可能性が高くなります。その場合、クリエイティブに問題があるのか、投下しているCMがターゲットにちゃんと届いていない(ターゲットGRPが少ない)のかもしれません。

また、仮にクリエイティブに問題がありそうだとわかっても、簡単にCMを作り替えるわけにもいかないことがほとんどです。これがWEBのバナー広告であれば、作り替えも容易なのですが・・・。

いずれにせよ限られた予算の中で、もっとも期待効果の高い手段を考えるのが我々の仕事になります。プロとして実現可能な「打ち手」を多く知っているからこそできることだと思います。

True but Useless ではなく True and Useful な分析と提案をしていきます。