では、実際にメディアプランを作成するステップを順番にみていきます。先ほど説明したとおり、広告主企業のマーケティング計画を確認し、どのような広告コミュニケーションを行うのか、広告計画の確認を行うことから始めます。
次に、どのようなメディアが利用可能で、どのような特性を持っているのか、媒体ごとの効率を分析します。また、競合がどのような媒体をどのように利用しているのか競合の分析をきちんと行います。ここまできちんとした分析を行っておけば、媒体目標を決め、訴求すべきターゲットを明確にすることは難しくありません。メディアプランをつくる作業のうち、7割から8割の時間はここまでのステップに費やされます。この作業をきちんとやっておかないと、具体的な媒体戦略をたてたるときに、裏付けになる事実(Fact)がないまま、思いこみでプランをたてることになってしまいます。
「メディアプラン」なんて誰にでもできると思っている人は、ここまでのステップをきちんと行わず、媒体戦略の開発から始めようとします。でも、戦略の基礎になるFactの蓄積がないので、「戦略」ではなく、戦術論を並べただけの提案になってしまうのです。
本当の「メディアプラン」は、上記のような時間のかかるステップを経て、広告目標を達成するための「手段」である媒体の使い方を考えることです。それが、媒体戦略の開発というステップになります。実際には、このとき同時並行で、投下計画の作成・評価の作業も進めていきます。これなら大丈夫というプランができあがったら、広告主企業にプレゼンテーション(提案)を行い、OKがでたら、実際の買い付け作業に入ります。
「メディアプラン」というと、計画を立てるだけのように思っている人もいるかもしれませんが、実際は、媒体を買い付けるときにきちんと「クオリティ」が確保するための管理業務も含まれます。プランナーとバイヤーが、きちんと「目標」を共有化して作業を行っていく必要があります。特にTVスポットの作業においては、この実施段階の作業によって、結果が大きく左右されてしまいます。
広告キャンペーンが終わったら、その結果をきちんと把握します。それが事後分析です。この分析をきちんと行っておかないと、何が悪かったのか?何が良かったのか?というポイントを抜きだし、次の広告展開のために生かすという「フィードバック」の構造ができあがりません。目標がきちんと達成できたかどうかを確認し、達していなければ、その理由を探す。そして、次の目標を立て、計画を作る。広告の仕事とはこの作業の繰り返しであるはずです。