製品によっては、1年のうち特定の時期に購入量や使用量が増えるというものもあれば、年間を通じて販売量がほぼ一定であるというものもあります。製品購入量、使用量の季節変動の程度に応じて、広告実施スケジュールを、定期的に重点実施期間を設ける通年一定型とするか、販売ピーク時直前やピーク期間中に集中実施する短期集中型とするか決まってきます。
たとえば、エアコンなら夏と冬の2回の需要期が想定できますし、パソコンなら、ボーナス期と新入学時期などが需要期として考えられます。ですが、本当にそれで正しいのかどうか、データにあたって確認してみることです。思いこみでプランを作成しないこと、それを裏付けるFactを集めておくことです。広告主企業から資料をもらえない場合は、「家計調査年報」などにあたってみましょう。
製品を消費する時期が一月のうちいつ頃か、あるいは1週間のうちの何曜日であるのかを把握できれば、生活者のメッセージに対する理解力を最も高める広告スケジュールを設定することが可能になります。購入時点に近い時に広告を実施するようにスケジューリングを行えば、購入する前に記憶に鮮明に焼き付けられることになるのです。
製品の購入サイクル-年1回、月1回、週1回など-を把握することによって、適正なキャンペーン期間が確定できることになります。たとえば、シャンプーなどの場合、平均購買サイクルは、1.5ヶ月位です。ということは、1.5ヶ月以上キャンペーンの期間を空けてしまうと、他のブランドにスイッチされる可能性が出てきます。かといって、毎週広告を出し続けるわけにもいかない。こんなときには、2週間のスポットを投下したら、2週間休み、また2週間スポットを投下するというフライト型のスケジュール戦略をとります。こうすることで、見かけ上は購買サイクルをカバーできるようになります。これは特に、予算枠に制限があるために常に広告宣伝を実施するわけにはいかない企業にとって極めて重要であるといえます。
★季節別投下量を決める★
季節戦略の策定には、通常月別の出荷データを用いることが多いと思われますが、出荷と実購買のズレにも留意する必要があります。例えば、日焼け止めのような季節商品は、シーズンのはじめに大量に出荷されますが、実購買はシーズン中ほぼ継続している可能性が大きいのです。POSデータなどで実際の購買を追えるのであれば、そちらを使用した方が良いことになります。
さらに、商品によっては実際の購買時期とそれを検討する、あるいはブランド選択のため情報収集する時期とのズレ、季節商品であれば、広告上の季節感等も検討すべきでしょう。
季節戦略の基本は、需要の大きい時期に投下量を増やす(または集中させる)ことですが、同時に競合の出稿量も増加していることも多いので、(特に競合に対して、少ない予算しかない場合)広告時期をあえて変更することも検討する必要があります。
地域戦略同様、季節戦略も(セールスの)小さな月別差異にとらわれる必要はないでしょう。あまり大きな季節性がなければ、スケジュール要因を優先すべきでしょう。
★投下スケジュールを決める★
ここでいうスケジュール戦略とは、媒体の運用効率上の年間でのスケジューリングを意味します。スケジュール戦略の策定にあたっては、年間を通じての、あるいは各広告時期における広告目標を整理する必要があります。例えば、導入時は、知名率、イメージの維持・向上を目的とするのか、それとも、導入時に購買まで期待するのかによって、その期間に必要な広告量には大きな差が出てきます。
また、商品ごとの購買構造によっても変わってきます。購買時期が集中しておらず、ブランドスイッチの度合いが高い商品では、広告期間を長く設定するべきでしょう。一方、購買時期が集中する場合は、必然的に広告投下を集中させることになります。
同時に、主要競合の出稿量も考慮しなければなりません。競合に対して有利な出稿量を常に確保しておくことが理想ですが、そうでなければ、期間集中により特定の期間だけ競合を圧倒することも検討すべきでしょう。
一般にスケジュール戦略には以下のような選択肢があります。
継続型:一定レベルの出稿を年間を通じて行う
パルス型:一定レベルの出稿をベースに3~6ヶ月ごとに加重する
フライト型:1~3ヶ月ごとに広告露出期間と広告休止期間を繰り返す
(一般には広告休止期間が長いケースが多い)
フライト型は予算上の制約等により、通年の広告活動が出来ない場合や、競合に対して出稿量が少ない場合の戦略であり、予算上実施可能である場合や、特にトップブランドの場合は、継続型、パルス型の出稿が望ましいと言えます。