テレビスポットのターゲット別の効率を分析します。テレビスポットは、基本的に「セットセールス」です。「逆L・コの字・ヨの字・全日」などの出稿する時間帯をゾーンで設定し、世帯GRPを用いて売買を行います。売買の単位は、世帯視聴率1%あたり金額(いわゆるパーコスト)ですが、放送局との契約は、あくまでも、CMの放送本数です。つまり、指定した時間帯の中で、必要な世帯GRPになるように、本数を調整しているのです。これが、スポットの取引をややこしくしている原因ですが、今のところそれが取引のルールとなっています。
「逆L・コの字・ヨの字・全日」などのゾーンは、もともとターゲットの視聴傾向(生活時間)を考慮して決められたものです。例えば、男性20-34歳(いわゆるM1ターゲット)ならば、逆L型、男性35-49歳(M2ターゲット)なら、コの字型、男性50歳以上(M3ターゲット)なら、ヨの字型、というようにです。視聴傾向は、それぞれのターゲットの生活時間(仕事・学校・家事など)に結びついています。そのため全体の傾向は同じでも、インターネットの普及に伴って、若年層では視聴率が下がっています。
とはいえ、現状では地上波TV放送は幅広いターゲットに確実にアプローチできる媒体だといえるでしょう。
TVスポットを「効果」の面だけで考えれば、「ターゲット視聴率」の最も高い放送局を使用すればいいのですが、「効率」を考えたときには「世帯視聴率」も考えなくてはいけません。先程述べたように、スポットの購入単位は「世帯視聴率1%」です。「ターゲット視聴率」の高いゾーンは、「世帯視聴率」も高いことが多く、ターゲットGRPをたくさん確保するためには、世帯GRPもたくさん必要で、高い買い物になってしまうでしょう。そこで、番組の時にも触れた「ターゲットファクター」を使います。
例えば、M1ターゲットのターゲットファクターをみてみます。ターゲット視聴率の高い、ゴールデンタイム(19時から23時まで)の時間帯は、世帯視聴率も高いため、効率がいいとはいえないようです。深夜の時間帯の方が、ターゲットファクターが高く、同じターゲットGRPを獲得するのにかかる世帯GRPは少なくて済みます。M1ターゲットならば、同じ逆L型でも、深夜の時間帯を多く含んだ方が「効率」が良いということです。
世帯視聴率・ターゲット視聴率・ターゲットファクターの3つを並べて見比べて、どの放送局・どのゾーンが効率的なのかを検討しましょう。
もちろん、これらの分析は、各地区各放送局ごとに行わなければなりませんし、季節によっても変わってきます。例えば、小学生がターゲットでも、学校が休みの間なら、平日の昼間の時間帯を使用することができます。