雑誌がメディアとして成立するためには、「出版社(編集者)」「消費者(読者)」「広告主」という三者の関係が重要になります。出版社は「情報」を商品として、消費者に売っています。消費者は自分の必要とする情報を得るために雑誌を買います。広告主は、直接には媒体のスペースを購入しますが、基本的にはその媒体の読者を買っているわけです。広告主は、広告に接触する読者の「量」と、雑誌の内容によって決まってくる読者の「質」を考えます。広告媒体として「雑誌」を考えるとき、読者の「量」と「質」を合わせて考えることが不可欠なのです。
★「量」的な評価基準雑誌を量的に評価するためには、二つの指標があります。発行部数と閲読率です。
1.発行部数発行部数は、日本ABC協会で「公査」されたものと、出版社の「公称」の二つの種類があります。ひとくちに「部数」と言いますが、発行部数(印刷部数という言い方もできますね)と販売部数では大きく異なります。雑誌媒体の場合は、いくら発行部数が多くても、販売部数が少ないと広告媒体としての価値がありません。一般的に、出版社の「公称」発行部数の場合、印刷部数が「公称」発行部数の8割、販売部数が、印刷部数の8割という説もあります。
つまり、信用してよい「部数」はABC協会の公査部数しかないということなのです。ところが、ABCで公査されている雑誌は約150誌しかありません。しかもほとんどが専門誌や業界誌です(一般誌に分類される雑誌では51誌しかありません)。そこで、雑誌媒体を評価する指標として最も利用されるのが「閲読率」なのです。
2.閲読率閲読率は、母集団の中でどれくらいの人がその雑誌を読んでいるかを示す数値です。似たような指標としては、精読率・購読率などがあります。必ずしも読者の全員がその雑誌の購入者というわけではない(回し読みや、立ち読みなども「読んだ」ことになりますから)ので、「閲読率」を使用するのが雑誌媒体の「量」を比較するのに役立ちます。
ABCの発行部数と閲読人数(閲読率から実際の人数を算出)を比較してみると、女性週刊誌やWalkerのような情報誌以外は、ほぼ発行部数に比例して閲読人数が増えていることがわかります。ですから、閲読率を使えば、多くの雑誌を比較検討できるのです。
閲読率を用いる場合は、ターゲットの閲読率の高い雑誌を選択することが大事です。しかし、雑誌によって料金が異なりますので、4C1P料金÷ターゲット閲読率などの計算をして、コスト効率で比較するといいでしょう。
しかし、いくらターゲットの閲読率が高いからといっても、マンガ雑誌や女性週刊誌ばかりが選ばれては困りますね。
★「質」的な評価基準
そこで、「質」的な評価が必要になるのです。それぞれの雑誌は、編集内容に特徴があります。その編集内容を必要とする読者が、その雑誌を買うわけですから、編集内容がわかれば、読者の特徴もおおよそ見当がつきます。編集内容と、広告商品をマッチさせて、それぞれの商品の情報を必要としている読者に与えられること、それが雑誌媒体の特徴なのです。雑誌の編集内容を確実に把握するには、その雑誌を読むことが一番ですが、数多くの雑誌、しかも自分に関心のない記事を読むのは大変です。そこで、編集内容の特徴を大雑把に把握するには、出稿する商品やサービスに合ったジャンルを探したり、過去の目次を調べたりする方法があります。また、雑誌ごとにどのような広告が記載されているか調べることにより、おおよその傾向をつかむこともできます。