視聴率とは?


●視聴率とは何か?●

TV媒体の「効果」をはかる最も一般的な指標は、「視聴率」です。視聴率の調査はビデオリサーチが一社で行っています。「視聴率」という言葉、とてもよく使う言葉ですが、実は様々な「視聴率」が存在しています。

視聴の対象
視聴率の対象となるのは、地上波放送、BS放送、CS放送、CATVのリアルタイムでの視聴です。関東地区では2016年10月から、関西地区・名古屋地区では2018年4月から録画・再生によるタイムシフト視聴の計測が開始されました。パソコンによるリアルタイム視聴は視聴率に含まれています。

世帯と個人
測定対象によって「世帯視聴率」と「個人視聴率」の二つがあります。世帯視聴率は、テレビ所有世帯のうち、どれくらいの世帯がテレビをつけていたかを示す割合、「個人視聴率」は、どのような人がどれくらいテレビを視聴したかを示す割合です。「世帯視聴率」は、テレビのディスプレイに表示されているチャンネルを自動的に集計しています。そのため、「猫が見ていても視聴率」と言われるように、実際に誰が見ていたかどうかは関係ありません。それに対して「個人視聴率」は、調査対象者にどのチャンネルを視聴していたのかを入力してもらい集計します。

調査方法

視聴率の調査方法には、次の3つの方法があります。
(1)オンラインメーターによる調査
オンラインメータという測定機を用いて、世帯視聴率を調査する方法です。複数のテレビにそれぞれ接続されたメディアセンサーから、オンラインメータに無配線でデータが転送され、1日の視聴状況が記録されます。

(2)日記式のアンケートによる調査
日記式のアンケートを用いて、個人視聴率を調査する方法です。調査員によって調査票が届けられ、対象者はテレビの視聴状況を毎日記入します。視聴記録はテレビごとに、個人単位で5分刻みの記入欄に矢印(⇔)で記入します。1週間継続して実施します。

(3)ピープルメーターによる調査
ピープルメータというシステムを用いて、世帯視聴率と個人視聴率を同時に調査する方法です。家庭内の最高8台までのテレビの視聴状況を測定し世帯の視聴状況を集計します。個人の視聴登録は、テレビのプリセットリモコンまたはPM表示器によって、視聴のはじめと終わりに各人に割り当てられたボタンを押すことで入力してもらいます。

▲視聴率調査の違い▲

視聴率は、地区(TVの電波エリアごと)に調査されて、地区によって調査方法が異なっています。

 

(1)PM調査地区
ピープルメーターを使用し、毎日、世帯視聴率と個人視聴率が記録されている。
関東・関西・名古屋の3地区(名古屋は2005年4月4日から調査開始)タイムシフト視聴率の計測開始に伴い、関東地区ではサンプル数がこれまでの600世帯から900世帯に拡大された。タイムシフト視聴率計測(関東2016年10月、関西・名古屋2018年4月)

(2)世帯52週・個人毎月調査地区
世帯視聴率は、オンラインメーター調査で毎日、個人視聴率は日記式で毎月特定の1週間のみ調査されている。
福岡のみ

(3)世帯52週・個人年4回調査地区
世帯視聴率は、オンラインメーター調査で毎日、個人視聴率は日記式で2・4・8・10月の特定の1週間のみ調査されている。
北海道のみ

(4)世帯52週・個人年2回調査地区
世帯視聴率は、オンラインメーター調査で毎日、個人視聴率は日記式で4・10月の特定の1週間のみ調査されている。
宮城・広島・静岡・福島・新潟・岡山/香川の6地区

(5)世帯24週・個人年2回調査地区
世帯視聴率は、オンラインメーター調査で月の前半2週間のみ、個人視聴率は日記式で4・10月の特定の1週間のみ調査されている。
青森・岩手・秋田・山形・長野・富山・石川・福井・鳥取/島根・山口・愛媛・高知・長崎・大分・熊本・鹿児島・沖縄の16地区

*世帯の調査が行われるのは月の第1月曜日から2週間。
ただし、4月・10月は、第2月曜日から2週間

(6)地方局自主調査地区
世帯視聴率のみ、各地区の放送局が決めた任意の期間で、日記式で調査されている。
山梨・福井・徳島・佐賀・宮崎の5地区

このように地区によって視聴率調査の方法や時期が異なります。ですから、全国ネットの番組で、放送はしているのに、視聴率がないエリアが存在するのです。放送していないということではありませんから、放送日と調査日の関係を確認しておいてください。

 

▲様々な視聴率▲

視聴率の最も基本になるのは、「毎分視聴率」です。その毎分視聴率の集計のやり方によって、様々に定義された「視聴率」ができるのです。

■毎分視聴率1分毎の視聴率で、視聴率の最小単位。視聴率の基本単位。個人視聴率も毎分で調査されているのはPM地区のみで、日記式個人の場合は、毎5分が最小単位

■CM出稿時点視聴率該当CMが流れた時点の毎分視聴率。別々の15秒CMが最大4つまで同じ CM出稿時点視聴率となります。事後のGRP(アクチュアル)は、この視聴率で集計されます。

■番組平均視聴率対象番組の放送時間の毎分視聴率を足し上げて、放送分数で割ったもの。通常、番組の視聴率といえば、この視聴率。スポットの場合はPT視聴率とおなじもの。

■番組終了時視聴率対象番組の終了時間直前の1分間の視聴率。H.H.(ヒッチハイク:提供表示はないけど、番組の終わりに必ず放送する提供形態)の場合は、この視聴率が一番近いものになります。スポットの場合はSB視聴率。

■前4週平均視聴率その週を除いた、前4週間分の同じ曜日、同じ時間区分の平均視聴率。スポットの発注はこの視聴率を使って行います。

例えば、普通に「番組視聴率」と言った場合は、上記の「番組平均視聴率」を指しています。ある番組にCMを流しても、この「番組平均視聴率」と同じ視聴率が獲得できる(CM出稿時点視聴率)とは限りません。CMが放送される時点では視聴率が下がることが多くなります。一般的にプランを作る際に利用される(できる)番組平均視聴率や1時間平均視聴率(毎分視聴率を足しあげて60で割ったもの)と、事後の評価に利用されるCM出稿時点視聴率とは異なるものなのです。

視聴率・GRP・リーチ・フリークエンシーの関係

★視聴率とGRP

同じテレビ媒体でも、番組では視聴率、スポットではGRPを指標としてよく使います。
GRPは、「グロス・レイティング・ポイント」の頭文字を取ったもので日本語では延べ視聴率を表します。ある期間における視聴率を累計したもので、視聴者の重複を無視した単純な累計値ですから、100を超える場合もあります。例えば1週間に20の番組にスポットCMを入れたとして、その内訳が世帯視聴率15%の番組が10本、12%の番組が8本、10%の番組が2本だったとすれば、この1週間のGRPは266となります。元になるデータは視聴率ですから266%と考えてもいいのですが、数学的にパーセントという単位の最高値は100ですから、やはり266GRPという使い方をしましょう。
視聴率の%というのは、何人が視聴したかという人気のバロメーターですが、広告的にGRPという場合は「延べ何人に広告を見せることができたか」ということになります。また、テレビスポット広告の料金も世帯視聴率をもとに算出しますから、ある時は「何人に見せるか(見せたか)」という意味になりますし、ある時は「いくら広告費を使うか(使ったか)」という意味で使われます。
それと注意して欲しいのは、世帯視聴率はある地域の世帯のうち何世帯が視聴したかを比率で表すものなので、違う地域の世帯視聴率やGRPを加減することはできません。つまり、「東京で500GRP、大阪で800GRP投下したので、合計で1300GRP投下しました」という計算は成り立ちません。あくまでも、地域ごとに計算をします・これは個人視聴率・GRPでも同様です。

★リーチとフリークエンシー
GRPはリーチとフリークエンシーに分解することができます。リーチは到達率、フリークエンシーは平均接触回数と訳されます。
リーチは簡単に言えば「何%の人がCMを見たか」ということで、%で表しますから、視聴率をベースにしたGRPと似ているのですが、「重複を無視するか、しないか」が異なります。前に触れたようにGRPは「重複を無視した単純累計」です。一方、リーチは「見たか、見なかったか」の二者択一で、調査対象者が何回見たかという事象は考慮しません。10人中5人が見たのであれば、リーチは50%です。当然数字は100%を超えることはありません。
フリークエンシーは1回以上CMを見た人たちの平均接触回数ですから、調査対象者が「何回見たか」という視点が入ってきます。10人中5人がCMを見たとして、3人が2回見て、2人が1回見たとします。すると、見られた延べ回数は8回。見た人は5人ですから、フリークエンシーは1・6回ということになります。
リーチはコミュニケーションの「拡がり」を示し、フリークエンシーはコミュニケーションの「深さ」を示していると言ってもいいでしょう。

視聴率・リーチ・フリークエンシーの計算例

grp
ここではわかりやすいように10人の調査対象者と5つの番組で考えてみる。Aさんは、番組1しか見ていないので、接触回数は1回。番組1はA・D・F・Iさんが見たので、視聴率40%、リーチ40%。それぞれの番組毎のフリークエンシーは重複がないので、みんな1.0回になる。5つの番組をセットで考えた場合、それぞれの番組の視聴率を合計したGRPは160GRP。5つの番組のどれも見ていないのは10人中、Eさん1人だけなので、リーチは90%。1回以上番組を見た9人の接触回数を平均すると、約1.8回となる。また、それぞれの対象者の接触回数を接触回数ごとに数えると、右の頻度分布の表になる。

リーチ・フリークエンシー・GRPの間には以下の数式が成り立つ。

リーチ×フリークエンシー=GRP
90×(16÷9)  =159.9

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