Connecting the Dots

2005年にスティーブン・ジョブスがスタンフォードで行ったスピーチの一説だ。

you can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. You have to trust in something — your gut, destiny, life, karma, whatever. This approach has never let me down, and it has made all the difference in my life.

将来を見越して点をつなぐことはできない。振り返ってつなぐことだけだ。将来何かの形で点がつながると信じることだ。・・・・・

今度立ち上げた会社の業務範囲を考えていると、自分の過去の仕事を繋げていまの仕事ができているんだなぁと、思った。

自分の経験してきた仕事のひとつひとつの点はどこかで今の仕事に繋がっている。例えば、自分が雑誌部という部署ではなく、新人の希望していたマーケティングの部署に配属になっていればきっとメディアプランという仕事には繋がらなかっただろう。
同じメディア部門でも、テレビや新聞に比べると、媒体社の数も多くセールスをするのが大変だった雑誌媒体だからこそ、その特徴を見せやすくするためにデータを使った。データを扱うためにコンピュータを勉強し、様々な調査データを扱うことになった。そこで、他の媒体と比較するという形でメディアプランニングという考え方に出会った。

メディアプランを考えるということは、結果を評価するための調査をすることもしなければならず、調査の勉強もした。

結果、メディアと調査とコンピュータという点がつながることで今の私の仕事ができあがっている。

自分が何かに興味を持つということは、過去に興味を持ったものとつながる可能性が高い、いやつなげやすいものなのだろう。自分の興味や関心を信じていることで、点はつながっていく。

興味関心ということなら、大学時代に「趣味で」やっていた考古学の勉強は、今の仕事に強く結びついている。

土器の接合というのをご存じだろうか?発掘現場から出土した土器の破片をきれいに洗い、似たものを探し出して一つの土器を作りあげていく作業だ。何種類ものジグソーパズルをいっぺんにばらまいて、そこから組み合わせを探すようなものだ。

私はこの作業が得意だった。他の人よりも早く土器の山の中からくっつく土器を見つけ出し組み上げることができた。たくさんの破片から特徴の似たものを見つけ出すにはコツがいる。細部にとらわれず、全体の色や曲がり具合などの大きな特徴を見つけ出すことだ。土器は工業製品ではないのでひとつひとつ大きさも色もまちまちだ。しかし、全体としては大きなデザインの傾向。土器の形式というものがある。その特徴を頭に入れておけば細部は異なっても似ている土器の破片を見つけ出すことはできるのだ。

この話を先生としたところ、先生に言われたのは「分類というのは分けることじゃない。まとめることだよ」と言われた。そう、「分類」とは「分ける」という字を使っているが、「分ける」ことではなく、同じ特徴を見つけ出して「まとめる」ことが分類なのだ。

さて、この話がどこにつながっているかといえば、私たちがコミュニケーションのターゲットを決めるときに使う手法もこれと同じだ。ひとりひとりは違う人たちをある共通項を見つけ出すことでグループにまとめていく手法、クラスター分析だ。

ある共通項を見いだすことで、たくさんの人の中からまとまりを持った人たちを見つけ出すことができる。ほら、土器の接合と同じじゃないですか?私はターゲットの人たちを見るときもこの「分類」という土器の接合の時に習った概念を常に思い出して使っています。

Connecting the Dots