5年も集めりゃ体重だって立派なデータだ!

昨日、とある大学でデータについてのお話をする機会がありました。学生にあまり難しいデータの話をしてもなぁ、と思い何かわかりやすい材料がないか考えていたところ、自分の体重のデータが使えるのではないかと思いました。

私は5年前に胃がん手術をしており、手術後からほぼ毎日体重を量ることを日課にしてきました。5年分もあれば何か傾向もあるだろうということです。ちなみに私が体重の記録に使っていたのは、

シンプルダイエット http://simpleweight.net/ja/

です。

本当にシンプルで、毎日体重を入力するだけ。アプリ上でもグラフが見えるので、変化がわかりやすいのですが、データのエクスポートもできるので、今回はそのエクスポートしたデータを使って分析しています。実はうまくエクスポートができなったのですが、ご連絡をしたところすぐに対応していただいて、もう感謝しかありません!

【なんでデータが大事なの?】

さて、体重の前に、そもそもなんでデータが大事なのかという話を大学生にしなくてはなりません。なのでちょっと整理をしてみました。しばらくお付き合いください。

なんでデータを使うのかと言えば、データがあったほうが「より多くの人に納得してもらえる」からです。論理とデータがそろうと聞いている人の頭に「!」が見えてきます。データがあっても論理がしっかりしていなければ説明できない難しいものになってしまいます。また、どんなに論理がしっかりしていても、データがなければなかなか信じてもらえません。論理もデータもなければ、「バカなの?」と言われて終わりでしょう。

我々がデータを集め、論理を使って説明しようとするのは何かのアクションを行ってもらうためです。データを集めることは、必ず何かのアクションに繋がっています。

意味のあるものないものあわせてたくさんの量のデータを集めます。集めたデータをある視点から整理し意味のある「情報」にします。整理した情報を分析し、そこに何らかの傾向や特徴、意味などの発見をします。その発見に基づいて、人間が判断をし、何らかの行動を起こすわけです。

データを集めるだけではなく、そこにどのような視点を持って整理していくのかが大事だと思うのです。AIだなんだと言う前にまずは、この流れがわかっていないといけないのだと思います。

 

【5年分も集めりゃ体重だっていいデータになるよ】

さて、体重の話。上記の例を当てはめるとまず5年分の体重データ、これがDataになります。なかりばらつきの大きなデータですが、手術の1年後に最も体重が減り(なんと59キロ!)、その後回復基調にあるのがわかりますよね。あとはなんか山谷が定期的に現れている感じがしませんか。自分でもなんか冬は体重が増えるなぁという季節性があるような気がするんです。

では、季節性を見てみましょう。これが「季節」という視点で整理するInformationです。

まずは、月別にしてみます。

なんか9月が低そうな感じがしますが、さっきははっきり見えた傾向がみえなくなってしまいました。データの単位を月にしたせいでしょうか。

では、週別でみてみます。

グラフとしてはこの方が変化が見やすいですね。とはいえまだだいぶばらついています。手術直後から2014年にかけては体重が増加して行く過程なので、このデータを外してみましょう。

だいぶ傾向が見やすくなりました。2015年も外してもいい感じもしますが、とりあえずこのデータを使ってもう少し傾向がわかりやすくなるようにそれぞれの年の平均を1としたINDEXに変えて、3年半分の合計で作ったINDEXを赤い太線でいれました。

これを見ると、毎年5がつのGW(19週)あたりが一番体重が重くなり、9月の末(40週)あたりまでだんだん減っていくのがわかります。GWのあと急激に下がっていくのは、私が本庄ー早稲田100kmハイク(毎年5月中旬に開催)に参加している影響だと思われます。

変動幅は、上下2%なのでそれほど大きな変動には見えませんが、季節ごとの動きもかなり安定しています。これを見ていれば、体重を量って、同時期の平均と比べることができて、体調管理にはとても便利になりますね。私の場合は、体重を安定させることがとても大事なので、自分の体重の季節性を知ることができて、毎日の食事や運動の目安になりますし、平均よりも乖離が大きければ、何かの体調の変化をしるきっかけになります。

これは私ひとりのデータですが、みんながアプリで記録していれば相当量のデータになって、性別、年齢別、身長別など様々な視点でみることができますよね。シンプルダイエットさん、個人情報扱いが大変かもしれませんが、利用者の皆さんのデータを集めたら、もっとみんなダイエットに励むかもしれませんよ。みんな他人と比べるのは大好きですからね。

私も先日、ZOZOスーツが届きました。アプリには計測した私の身体の大きさにを平均値と比べるという表示の仕方があって大変気になりました。走っているせいか、下半身は太めです。

あれ、違う。私の太ももの話ではない。私の体重だ。

とはいえ、私ひとりの体重だけみていてもなんだかな、なので、世の中の動向を見てみます。

「ダイエット」の検索ボリュームを見てみると、やはりGWにぐっと上がります。やはり夏に向けてみんな痩せようと思うんでしょうね。ダイエットだと女性が多く検索するような気がしますので、「筋トレ」も調べてみます。

「筋トレ」は毎年検索ボリュームが増えてます。なんでこんなに増えているでしょう。みんなそんなに筋トレしたいのか?さて、5年分の平均をとると6月に一番増えるようで、こちらも夏に向けて6パックを皆さん目指すのでしょうか。

私の体重だけではなく、検索ボリュームの動向を合わせて見ても5月頃がどうも体重のピークでそこから、暑くなって食欲も落ちるのか、代謝が増えるのか、はたまたダイエットしてるのか、筋トレしてるのか秋に向けて体重は減っていくようです。

どうでしょうか。たかが毎日の体重の記録ですが、5年分もみてみるとデータを整理して特徴を発見していく過程がわかりやすく説明できたような気がします。

さて、あなたはこのデータの分析からのinsightで何をアクションしますか?

「世帯」から「個人」へ。テレビ取引指標が変わるとき、プランニングはどう変わるのかープランニングはどうかわるのかー

  • プランニングはどうかわるのか(気をつけるべき点は何か)

TVスポット取引指標の変更にともない、メディアプランニングにどのような影響がでるのでしょうか。メディアプランニングの7つのチェックポイントの中から、特に影響が大きい以下3点について考えていきます。

  • TVCM投下エリアの決定
  • 予算設定・予算配分
  • キャンペーンのスケジューリング

1.TVCM投下エリアの決定

TVCM投下エリア配分を考える上で、通常は到達率(到達人数)や到達コストなどから投下エリアとエリアごとの投下量を決めていきます。しかし、今回のテレビスポット取引指標変更に伴い、関東地区とそれ以外では買付指標が異なるので、どちらかに換算しないと全国の投下量を横並びで見ることができません。当面は関東のALL P+C7で購入した量をその他の地区に合わせて世帯に換算することになるでしょう。今後仮に関西/名古屋で関東地区と同じように、取引指標にALL P+C7が導入されたときには、逆にその他の地区(関東・関西・名古屋以外の地区)をALL換算することになるでしょう。いずれにせよこれまでよりもプランを作るのに時間がかかるようになりますし、社内でどの指標を使って基準をつくるのか決めておく必要があります。

2.予算設定・予算配分

ここまではTVCMに限って話を進めてきましたが、あるキャンペーンをTVCM(スポットCM)だけで実施することはあまり多くはありません。複数のメディアを複数のエリアで展開することが一般的な中で、それぞれの広告効率を横並びで比較することは容易ではありません。そこで横並びして比較できるように、CPMの考え方を導入する必要が出てくるでしょう。CPMとは1,000人あたりの到達コストを示す指標です。CPMを使うことで、TVCMの関東地区とそれ以外の地区の到達効率を比較したり、TVとDigitalの最適な配分比率を求めたりすることができるでしょう。

3.キャンペーンのスケジューリング

タイムシフトが取引指標に加わることで、自分たちの必要なキャンペーンの期間外に露出されるスポットCMがどのくらいになるのか、あるいは無駄になってしまうのではないか、と気になる人もいるでしょう。実際に集計をしてみたいくつかのケースでは、期間外露出の割合が、投下量全体の0.1~0.2%とごくわずかの量でした。個人的には、ここを気にするよりも、よりふさわしいターゲットを選ぶことやふさわしいクリエイティブを作ることに集中すべきだと考えます。

以上3回にわたって、2018年2月に実施したセミナーでお話しした内容を中心にご紹介してきました。

関西地区では2018年4月から、名古屋地区では2018年7月からテレビ視聴率調査において、タイムシフト計測が始まります。関東地区以外でもタイムシフトの計測が始まることは、いま関東地区で起きている変化が、他の地区にも波及していくことが想定されているでしょう。この変化を前向きにとらえていきたいと思います。

「世帯」から「個人」へ。テレビ取引指標が変わるとき、プランニングはどう変わるのか。ーなぜ取引指標が変更されるのかー

  • なぜこのタイミングに取引指標が変更されるのか

2018年4月から関東地区のテレビスポット取引の指標が変わりました。おさらいになりますが、変わったポイントは以下の2つです。

  • これまで取引使われてきた「世帯」視聴率が「個人(ALL)」視聴率に変わること
  • これまでのリアルタイム視聴率に放送後7日間以内のCM再生視聴率(タイムシフト)が加わること

ではなぜこのタイミングで取引指標が変更されたのでしょうか。

②のCM再生視聴率が加わる点については、海外の取引実態を参考に、価値化されるべきものを正しく計測し、価値に見合う値段をつけることがようやく日本で実現した、と考えることができます。タイムシフト視聴がきちんと計測され視聴率に組み込まれることは、海外では以前から行われてきたことです。その意味では、ようやく日本でも視聴の実態に取引が追いついてきたと言えるでしょう。

①の「世帯」から「個人」に取引指標が変わる点については、変更の本当の意義を考えると、マーケティング全体が、マスマーケティングからCRM(ここではCustomer Relationship Marketingの意味)への転換を求めているからだと言えるでしょう。

ではなぜマスマーケティングからCRMへの転換が求められているのでしょうか。その背景は、いうまでもなく日本の超高齢化です。2001年から2016年までの15年間で、65歳以上の人口は1.5倍になり、M1/F1は27%も人口が減少しているのです。現在のテレビ視聴者の半分近くが50歳以上であり、「世帯」視聴率は、テレビ視聴の実態をうまく反映できていないといえるでしょう。「%」の数字は、その「%」を割り出す集団構成が大きく変化しているため、「%」の数字だけでなく、「実数そのもの」や「実数に換算できる%」を見ていく必要が出てくるでしょう。

「%」だけでなく「実数」を指標に据える動きは、企業側ではすでに行われています。例えば広告効果の指標として、これまで使ってきた広告認知率やブランド認知率などの「%」データだけでなく、自社サイトのアクセス数やSNSのいいね!数など「実数」データを指標にすることが増えてきました。テレビメディアでONEtoONEマーケティングを実施することはできませんが、「世帯」から「個人」、そして「%」から「実数」に評価指標を変えていくことで、顔の見えない「世帯」ではなく、様々なデータを使ってより見込み顧客となりそうなクラスターやユーザー層を見つけていくことができるようになるでしょう。

こうした取引指標の変化やマーケティング活動の変化にともない、メディアプランニングにどのような影響を及ぼすのでしょうか。1つ1つ見ていくと、大小さまざまな影響を及ぼすことが想定できます。実際にどのような影響が出てくるか、具体的に直面しそうなポイントを次回の更新で見ていくことにします。

「世帯」から「個人」へ。テレビ取引指標が変わるとき、プランニングはどう変わるのか ー取引指標のどこがどう変わるのかー

2018年4月から関東地区のテレビスポット取引の指標が変わったことをご存じでしょうか。この変化は、メディアプランニングに大きな影響を及ぼすとともに、関東以外の地区にも波及していくことが予想されます。そのため、Axivalでは2018年2月26日に、

「世帯」から「個人」へ。テレビ取引指標が変わるとき、プランニングはどう変わるのか

というテーマで、広告主様向けにセミナーを開催しました。

セミナーの第1部の講演では、主に

  • 取引指標のどこがどう変わるのか
  • なぜこのタイミングに取引指標が変更されるのか
  • 取引指標変更にともない、メディアプランニングにどのような影響があるのか

についてお話しさせていただきました。また第2部では、テレビ視聴データを保有する株式会社インテージの李様、TVISION INSIGHTS株式会社の郡谷様にご登壇いただき、各社のテレビ視聴データのご紹介と、テレビ視聴データをどうマーケティングデータの活用方法についてパネルディスカッションを行いました。

 

本ブログでは、私がセミナーでお話しした第一部の講演内容を3回に分けてご紹介していきます。

 

  • 取引指標のどこがどう変わるのか

2018年4月から関東地区のテレビスポット取引の指標が変わりました。変わったポイントは2つです。1つ目は、これまでテレビスポット取引で使われてきた「世帯」視聴率が、「個人(ALL)」視聴率に変わることです。2つ目は、これまでリアルタイムでの視聴率のみをテレビスポット取引に利用していましたが、C7と呼ばれる放送後7日間以内のCM再生視聴率(タイムシフト)が加わりました。これをP(リアルタイムの番組平均・終了時、個人視聴率)+C7と呼び、このP+C7がテレビスポット取引指標になりました。

2つの変更の中で、特にC7が新たにテレビスポット取引に組み込まれることは、広告主様側から見れば「値上げ」だと解釈されることが多いようです。しかし、実際にはこれまでも、タイムシフト視聴は行われてきたわけですから、これまで価値に換算されていなかった視聴行動が価値化されて値段がつくようになった、とも解釈ができます。

では、なぜこのタイミングに取引指標が変更するのでしょうか。その背景は、社会全体の大きな変化や、マーケティング全体の考え方の変化など、さまざまな要因が考えられます。次回の更新で詳しく見ていくことにします。